歌うときの音程の取り方で、受ける印象が真逆になる。実際の歌手や歌を引用しながら検証
どうも。ギャクバリです。
今回は、歌うときの音程の取り方が大きく分けると2パターンあって、
どちらを選ぶかで、受ける印象が真逆と言っていいほど、随分変わってくるという話をします。
言葉だけでは分かりにくいかもしれないので、実際の歌手や歌の動画も4つ貼りながら説明します。そのため、ページの読み込みが重くなってしまったら申し訳ないです。
(1)①スパッとその音を目がけて出すか、②音そのものを出す前に、ほんの少しだけ低い音を出してから、ピンポイントの音を出すかの2タイプがある(ほんの少し低い音取りをしたままで、ピンポイントの音に移行しないタイプもあり)
音は、ドの音ならドの音というように、「この音!」とピンポイントで決められている音がありますよね。
(実際には時代ごとに、定められた音(ヘルツ)が高くなっていっていますが、それは置いておきます。現代の音取りで考えてください)。
ピアノでドの鍵盤を「ポーン!」と叩いたときの音を、ここでいう「ピンポイントの音」と考えてもらえたらと思います。ドの音だけでなく、他の音も同じです。
ピアノだと「ピンポイントの音そのもの」以外、音を出しようがないはずですが(ピアノに詳しくないので、鍵盤の叩き方の強弱などで、同じドの音でも低めのドや高めのドが出せる場合は済みません)、
バイオリンのような弦楽器もそうですし、声で歌う場合でも、同じドの音なんだけれども、少しだけ低いド、少しだけ高いドを出すことができます。
分かりにくいかもしれないので、イメージ図を下に書いておきます。
ここを押さえておかないと「この人何言ってるの?」状態になりかねないので説明が長くなってしまいましたが、何となくお分かりいただけたでしょうか。
上の下手くそな画像でいうところの『ドの音に分類される音』を出しても、
場合によっては音痴扱いにはならないということです(特に歌の場合)。
むしろ、ピンポイントの音をいきなり出すときとはまた違った、真逆に近い印象を与えることもできます。
つまり、歌うときの音程の取り方が大きく分けると2パターンあって、
①歌うときに、『ピンポイントの音めがけて、いきなりその音を出す』パターン
②『最初に、近域の音をまず出して、そこからピンポイントの音に近づける(大抵、少し低い音から、ピンポイントの音に近づける場合が多い)』パターン。
人によっては、近域の音だけを出して、ピンポイントの音を出さないこともある
この2つのタイプがあるということですね。
具体例を先に少しだけ挙げると、
1つ目の「いきなりピンポイントの音を出す」パターンは、
①子どもの声で歌われている童謡(「♪ゆうやーけこや(↓)けー(↑)のー赤とんぼー」など)や、
②合唱コンクールで歌うとき(「♪この広いーお(↓)おー(↑)ぞらにー」など)を思い浮かべてもらえると分かりやすいかと思います。
判断する一番のポイントは、低音から高音に移った時の、高音の音の取り方ですね。
赤とんぼの歌なら「♪ゆうやーけこや(↓)けー(↑)のー」の、太字で強調している「けー(↑)」のファの高音です。
この「けー(↑)」のファの音を、スパッと狙っていく歌い方が「いきなりピンポイントの音を出す」歌い方となります。
次に、「少し低い音を出してから、ピンポイントの音に近づけていく歌い方」は、
カラオケで採点したら項目に出て来る「しゃくり」ですね。
カラオケの採点をよく使う人からしたら「しゃくりのことなら、しゃくりと言ってくれればすぐ分かったのに」と思われたかもしれません。
ただ、「しゃくり」という言葉が、知らない人からすると「しゃくりって、しゃっくりのこと?」と紛らわしいと思うので、
引き続き、①ピンポイントでいきなり音を出す方法と、②少し低い音から、ピンポイントの音に近づけて音を出す方法と書いて説明します。
(2)ピンポイントの音取りをすると、「純粋」「明るい」「透明感があり無垢(むく)」「浮世離れした」などの印象になる。少し低い音からピンポイントの音に近づける音取りをすると、「色っぽい」「人間味がある」「温かい」「深みがある」などの印象になる
前置きが長くなってしまいましたが、私が話したかったのはこのことです。
先程、具体例として、
「ピンポイントの音取り」は「童謡」や「合唱」でそのような歌い方をすることが多いと書いたので、もうお分かりになった方もいらっしゃるかもしれませんが、
「ピンポイントの音取り」をすると、
『純粋・明るい・透明感がある・無垢 ・清楚・子どもらしい・浮世離れした感じ』
などの印象になりますね。
なので、AKB48の歌(フライングゲット・ヘビーローテーション・恋するフォーチュンクッキー)、欅坂46の歌(不協和音・サイレントマジョリティー)を確認しましたが、漏れなくピンポイントの音取りをしていました。
具体的な音については、後で他のアーティストの動画を貼って説明します。
そもそも、大人数で歌うときに、「少し低めの音からピンポイントに近づけるような音取り」をしてしまうと、
1人1人の少しのタイミングのズレで不協和音になってしまう危険性があるので、揃えやすくするためにという事情もあるかもしれません。
ですが、一番は「明るく透明感がある」という、アイドルの歌に相応しい歌い方をしているのかなと思います。
次に、「少し低い音からピンポイントに近づけるような音取り」をすると今度は、
『色気がある・人間味がある・温かみがある・深みがある・ソウルフルな感じ』
などと、「いきなりピンポイントの音取り」をしたときとは、かなり異なる印象になります。
なので、この歌い方をしている人の歌を聞くと「何か色っぽいな」と感じやすく、
人生を歌ったような歌なども深みが出てしっくりくる感じですね。
それぞれの歌い方の良さがあるので、次に具体的に例を挙げてみていきましょう。
(3)「ピンポイントの歌い方」と「低めの音取りをした後に、ピンポイントの音に近づける歌い方」の具体例
①純粋か、色気か
女性同士の比較で、大塚愛の「さくらんぼ」と、倖田來未の「愛のうた」を用います。
まずは、「ピンポイントの歌い方」である、大塚愛さんの「さくらんぼ」から。
最初の数秒聞くだけで分かりますが「♪愛し合うーふー(↓)たー(↑)りー」の、
「たー(↑。ミの♭)」が、ピンポイントな音の取り方ですね。
ついでに、「しーあわせー(↓)のー(↑)」の、
「のー(↑。ド)」も完全にピンポイントを狙っています。
「たー(↑。ミの♭)」よりも、「のー(↑。ド)」の方が、分かりやすいかもしれません。
この歌や大塚愛さんから受ける「可愛らしい、純粋、元気」などの印象は、
メロディや歌詞の可愛らしさや、ご本人の顔や様子からだけではなく、
こうした歌い方のちょっとした違いからも決定づけられているのではないかというのが私の考えです。
「いや、そんなことないやろ」と半信半疑のそこのあなた。
試しに、「しーあわせのー」の、「のー」の歌い方を「のぉおー」と、やや低い音程から本来の音(ドの音)に近づけて自分で歌ってみてください。
天真爛漫さが少し薄れて、大人寄りな印象になるはずです。
続いて、「やや低い音程から、本来の音に近づけて歌う歌い方」である、倖田來未さんの「愛のうた」から。
0:07の「ひとつーだけー」の「けー(ファの音)」もそうですし、
サビ一発目で0:54の「あいのーうたー」の「たー(シの音)」なんかも、
「たー」の最初の音程はほぼ「シ♭(フラット)」かな?というくらい、
強調して低めのシから、ピンポイントのシに移っていますよね。
この歌の曲調や、倖田來未さんがハスキーボイス(?)だからという要素を越えて、
この「低めの音取りから、ピンポイントの音取りをする」という手法で、
この曲や倖田さんの印象が、「大人の女性で、色っぽさがあって、感情がこもっている」になるというわけです。
こちらの曲の場合は、逆に、ご自身で「あいのーうたー」の「たー」を、ピンポイントに「シ」の音で歌っていただければ、
いくらメロディが同じでも、切ない感じが薄くなるのが感じられるかと思います。
ちなみに、この印象の変化は、女性に限らず、男性でも同じです。
ページを少しでも軽くするために、動画の数を少なくしたいので、
両パターンを聞けるCHEMISTRYを例に出します。
最初の歌い出しの川畑さんが「なーつくさがー」の「がー(ファの音)」を、「少し低めの音からピンポイントの音に近づける」歌い方で歌っています。
次の「ながーれてーくー」の「くー(ソの音)」もそうですし、川畑さんの歌い方は基本的に全部そうですね。
そのため、声質からだけでなく、「人間味があって温かい」印象を歌から受けやすいかと思います。
一方、堂珍さんは逆で、0:28の部分「なみーに身をまーかーせー」の「かー(シの音)」を完全にピンポイントで出しています。
他の部分もピンポイントの音取りが多いです。
なので、すごく歌の印象が「純粋で天真爛漫で楽しそう」な印象になっているように思います。
色々ととやかく言うより、
0:10の川畑さんの「なーつくさがー」(最初が低めの音取り)と、
1:23の堂珍さんの「なーつくさがー」(最初からほぼピンポイントの音取り)の
「がー(ファの音)」の音を聴き比べてもらえれば、違いが一目瞭然のはずです。
この印象の違いが、2つの音の取り方から受ける印象の違いということですね。
②世間ずれしていない感じと、人生の深みを知っている感じ
もう皆さん、お腹いっぱいだと思うので、最後に一つだけ、一青窈さんの「ハナミズキ」を紹介して終わりにします。
この歌も、途中から子どもたちが一青窈さんと一緒に歌っているから分かりやすいです。
動画の3:59から、「うーすべーにいろのー」を、
一青窈さんは「のぉおー(ラの音)」と低い音取りをしてから本来の音に移っているのに対して、
合唱の子どもたちは「のー(ラの音)」をそのままピンポイントで音を出しています。
一青窈さんは、この「ハナミズキ」の歌を、全体的に、低い音取りをしてから本来の音にスライドさせる手法で歌っています。
それで「君と好きな人が100年続きますように」のような、壮大な世界観を持った歌詞に、深みというのか、説得力を持たせているんだろうなと思った次第です。
まとめ:歌い方をほんの少し変えるだけで印象がガラッと変わるので、使い分けるとよい
まとめると、「①最初から本来の音を狙っていく」か、「②最初は少し低い音を出してから、本来の音を出す」かで、
「①純粋で明るい感じになる」か、「②温かく深みがある感じになるか」の印象が変わってくるのではないかということです。
なので、カラオケ等で歌うときに、歌おうとしている歌がどちらのタイプの音の出し方かをチェックしておくと、「それっぽい」感じが出しやすくなると思います。
もしくは、歌い方を変えることで、自分の印象をある程度変えることもできるかもしれませんね。
以上、ギャクバリがお送りしました。
長くなりましたが、ここまで読んで下さり誠にありがとうございました。
読み飛ばされた方は、最後の「まとめ」部分だけ読んでも主張は分かるかと思います。
あと、もし、「この歌手のこの歌はどのタイプ?」と分からない歌があったら、コメント欄で教えていただければ、答えられる分には答えます。
(歌によって使い分けている歌手もいらっしゃるので、歌も一緒に分かった方がよいです。今回挙げさせてもらった大塚愛さんも、歌によって使い分けてますよね。「黒毛和牛上塩タン焼680円」では、後半に進むにつれて音取りが、「低めの音からピンポイントを狙う音取り」になっています)。
ただ、何とも言い難い歌もあるんですよ。
「綱渡りをしているのかな?」というような縦横無尽な音程の取り方をしているような歌とか。
そういう歌や歌手の方だと答えられないかもしれません。
さて、次回は料理に戻って、「週末スペシャル カフェ気取りのフレンチトースト」を「ゆる自炊BOOK」より作ります。
ゆる自炊BOOKのメニューはこれが最後ですね。